コラム

安武内ひろしの「ここが知りたい!」大学受験英語
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リスニング

「これだけっ!」シリーズの著者、安武内ひろし先生による
2022年1月に行われた、大学入学共通テストの「リスニング」解説!

受験生や浪人生はもちろん、高校1・2年生にもぜひ参考にしてほしい内容になっています!

安武内先生の大学受験英語コラム!!!

これだけっ!自由英作文 大原則編これだけっ!自由英作文 難関大学攻略編これだけっ!英語リスニングを刊行している「安武内ひろし」先生による、コラムです!

タイトルはズバリ「2022年共通テスト英語リスニング~安武内ひろしの雑感~」です。
2022年1月に行われた共通テスト・英語の特にリスニングについて講評をいただきました!!

早速ご覧ください🌈

2022年共通テスト英語リスニング~安武内ひろしの雑感~

昨年(2021年)から始まった「共通テストの英語リスニング」は、それ以前の「センター試験英語リスニング」と比べて、

①配点が50点から100点に倍増し、
②アメリカ人だけの吹込みからイギリス人非ネイティヴスピーカーも吹込み者に加わり、
③2回読みではなく、1回読みのパートが主流になり、
図表がさらに多用されるようになり、
4人の討論という形式も加わった、

というような変化がありました。
それで今年(2022年1月)の2回目のリスニング問題は、1回目の昨年の問題と比べてどうだったのか?
それが皆さんがいちばん知りたいところだと思います。

吹込みの読み回数

共通テストリスニングは、第1問~第6問までありますが、今年も第1問と第2問だけが2回読みで、第3問以降~第6問まで1回読みで、昨年と同じでした。
ふつうの人なら不思議に思うと思いますが、何故、いちばんやさしく短い第1問と第2問が2回流れ、それ以降が1回しか流れないなのか?逆にした方が、受験生のためになるのではないか?その方が、受験生のリスニングの実力を正確に測れるのではないか?
――それがまったくの正論だと思います。
しかし、おそらく大学入試センターは、私の推測ですが、以下のように考えているのではないかと思います

全体の配点が100点で、全国の受験生全体の平均点を55~60点くらいの範囲に収めたい。
他教科と比べてあまりに平均点が高かったり(平均点80点とか)、低すぎたりすると(平均点30点とか)、最悪の場合、他教科と得点調整しなければならなくなったりして厄介です。
平均点を55~60点に収めることが至上命令と考えていいでしょう。
そこで、もしやさしい第1問(配点25点)と第2問(配点16点)を2回聞かせれば、たいていの受験生は満点(41点)に近い点を取れるだろうから、そのあとの第3問以降のむずかしい問題は、鉛筆を転がしたりして勘だけで解いたとしても、確率的に25%は正解する計算なので、59点×0.25=15点は獲得できる。
そうすれば、41+15=56点になる。そんな計算をしているのではないでしょうか?そうとしか考えられません。
それほどナンセンスな回数設定ということです。

昨年度との比較

細かいところでは多少の変化はあったにせよ、形式と量はほぼ昨年度の問題を踏襲していました。
難易度もほぼ同じです。
ということは、来年度(2023年)もこの形式のままで行くだろうということでしょう。

アメリカ英語とイギリス英語

共通テストではアメリカ英語だけでなく、イギリス英語の発音も聞き分けられなければならないのは、センター試験の頃からすると、ちょっと厄介ではありますが、イギリス英語とは言ってもごく聞き取りやすい発音であり、もともと日本人受験生はイギリス英語の方が聞き取りやすいという人が多い傾向ですから、あまり問題にはなりません。
逆にアメリカ英語に慣れていない受験生の方が多いのが問題だ、とは言えるでしょう(拙著『音変18』をやるべし)。

あと日本人の吹込み者もいて、それは第4問Bの③の箇所と、第6問BのHiroの会話部分です。
十分通じる英語ですが、子音の後に不要な母音が入ったり、リズムが微妙に違ったりしているので気づいた受験生もいたと思います。日本人にとって、日本人英語は聞き取りでは問題にはならないので、無視していいと思います。
試行テストの時のように東南アジア人(たしかタイ人)の英語を聞き取る、というようなことになると、これは大ごとですが。

図表の活用

おそらく大学入試センターの基本方針だと思いますが、図表・グラフが多く問題に挟み込んであります。
ビジュアル」というのが共通テストの基本コンセプトのようですので、英語リスニング問題で図表・グラフが多いのは仕方のないことですが、第5問や第6問での図表・グラフは、「無理やり突っ込んだ」感が漂っていて、あまり有効活用されていない感じがします。
つまり、図表・グラフなしでも十分正解にたどり着くことができる問題が少なからずある、ということです。
受験生としては、多すぎる図表・グラフの量に圧倒されないことが重要です。
それに加えて、リスニングテストでありながら、問題文のテキストの英語量が多くて(ワークシートとか4択の選択肢の英文とか)、それを音が流れる前の数十秒で全部読まなければならないという、まるで速読力を測る問題のような設問があります。
例えば第5問などです。

私の個人的な意見を言わせてもらえば、これはリスニングテストであって、リスニングテストというのは、音声の刺激を与えられて、それが頭の中でどれだけ正確に意味に転換できるかを測るべき問題ですから、別の要素である「英語の文章の速読力」がリスニングの試験の中で大きな比重を占めるのは賛成できません。
とは言っても、実際に共通テストではこの形式でやっているわけですから、受験生は速読力増強の対策を練っておかなければなりませんね。

余談ですが…

余談ですが、第2問の問11で「映画館のシートマップを見ながら座席を決めています」という問題文の説明がありましたが、えっ、シートマップ??
一方、第5問の状況説明の日本文では「あなたは大学で、働き方についての講義を、ワークシートにメモを取りながら聞いています」とあり、ここではワークシートです。

シートマップというのはおそらくseat mapのことであり(実際に英語ではfloor planと言い、seat mapとは言わないと思いますが)、ワークシートはおそらくworksheetでしょうから、日本語では同じ「シート」ではあっても、英語ではちがう発音でちがう単語です。
日本語のシートはsheetに近く、シートとseatとはまるで音がちがいます。

これは英語のリスニングのテストなのですから、そういう細かいところにも気を配ってほしいと思いました。
「座席表」という立派な日本語があるのですから、それを使えばいいでしょうに。

著書紹介

安武内先生の講評はいかがでしたでしょうか。
ぜひ今後の学習の参考にしてください!

最後に、安武内先生の本をご紹介します👏

『これだけっ!英語リスニング』

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安武内ひろし/著 1540円(1400円)
ISBN:978-4-86470-164-8

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ご希望の声にお応えして、リスニングの全音源一括ダウンロードと、英文抜粋資料を作成しました!
リスニングは理解して、繰り返し聞いて、発音練習することが大事!
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『これだけっ!自由英作文 大原則編』

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安武内ひろし/著 1540円(1400円)
ISBN:978-4-86470-162-4

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かゆい所に手が届く!」という声も多くいただいている本書は、
自由英作文を学ぶ全ての人に手に取ってもらいたい一冊となっています。
それは、本書が美しい模範解答の羅列ではなく、
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最初の1文から丁寧に書き方を教える本書で、一歩ずつ自由英作文をマスターしてください✨

『これだけっ!自由英作文 難関大学攻略編』

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安武内ひろし/著 1540円(1400円)
ISBN:978-4-86470-166-2

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『これだけっ!自由英作文 大原則編』の続編で、下巻という位置づけ。
主に上巻で取り扱わなかった問題形式(大学入試で40%を占める部分)を、
具体的に、なおかつ丁寧に解説。
「難関大学攻略編」とありますが、上巻と同様、最初から一歩ずつ解説しています。
上巻と合わせて2冊で「自由英作文」をマスターしてください!

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